大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ラ)552号 決定

一件記録によれば、次の事実が明らかである。すなわち、原告抗告人、被告成田五郎間の新潟地方裁判所昭和三五年(ワ)第四四二号取立金請求事件につき、同裁判所は、昭和三七年八月一五日「(一)被告は原告に対し、金四三万五、〇〇〇円を支払え。(二)原告その余の請求は棄却する。(三)訴訟費用はこれを三分し、その一を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。(四)本判決は、原告において金一〇万円の担保を供するときは、第一項に限り仮りに執行することができる。」との判決を言い渡したが、成田五郎は同月二五日右判決に対し、東京高等裁判所に控訴するとともに、右仮執行宣言付判決にもとづく強制執行の停止を申し立て、同日申立人(成田五郎)において金一五万円、もしくは、これに相当する有価証券を供託したときは、本案控訴事件の判決のあるまで右執行を停止する旨の決定を得、同人は新潟地方法務局に金一五万円を供託した(同法務局昭和三七年度金第九七六号)。しかして右控訴事件については、東京高等裁判所は、昭和四二年四月二四日「原判決を左のとおり変更する。控訴人(成田五郎)は被控訴人(抗告人)に対し、金二三万七、一一八円を支払え。被控訴人その余の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審を通じ三分し、その二を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。」との判決を言い渡し、右判決は確定した。そこで、成田五郎は新潟地方裁判所に、先に立てた保証の取消しを申し立てたので、同裁判所は抗告人に対し、昭和四二年一二月一九日付、翌二〇日送達の催告書を以て、同書面が送達された日から七日の期間内に、右保証に対する権利を行使すべき旨を催告し、右期間内に権利行使の届出をしないときは、保証取消しに同意したものとみなす旨通知した。これに対し、抗告人は右催告の期間内に成田五郎を相手取り新潟簡易裁判所に損害賠償請求の訴を提起した(同裁判所昭和四二年(ハ)第三七七号)ので、成田五郎は昭和四二年一二月二七日保証取消しの申立を取り下げたところ、抗告人は昭和四三年七月二日前記損害賠償請求の訴を取り下げた。そこで、成田五郎は同月九日再び前記保証取消しを申し立て、原裁判所は同月一〇日保証権利者がその権利を行使しないので、保証取消しに同意したものとみなして保証取消決定(原決定)をなし、これに対し、抗告人は本件抗告に及んだ。

ところで、民事訴訟法第一一五条第三項前段にもとづき定めた催告期間内に、担保権利者が権利行使のための訴訟を提起しても、右の訴を取り下げたときは、はじめから訴の提起がなかつたものとみなされるのであるから、その時において担保権利者は担保の取消しについて同意したものとみなすべきであつて、かりに担保権利者がその後更に同一の訴訟を提起して権利行使の挙にでたとしても、一たん同意があつたものとみなされた法律上の効果は、このために消滅することはないと解するのが相当である(大審院昭和一七年二月二四日決定、民集二一巻四号一四一頁以下参照)。してみれば、前記認定事実のもとにおいて、原裁判所がなした保証取消決定は相当であつて、本件抗告は理由がないから棄却をまぬがれない。

(中西 兼築 高橋)

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